
登場人物
あんず(19歳)
一人暮らしの大学生。バイトと課題に追われつつ、ゆるく薬膳にハマり中。
店長(40代)
あんずのバイト先の店長。無愛想だけど部下思い。最近夏バテ気味。浅く疲れぎみ。
バイト先 町のカフェ「つむぎ」
最近、バイト先の店長がちょっと元気ない。
あれ?いつもより声にハリがないような…。
「なんか…夏バテかなぁ。昼メシ、ずっと冷たいソバばっかなんだよね。
だって暑いじゃん、火使いたくないしさ」
あ、やっぱり。
冷たいソバ=体を冷やす=夏バテ悪化ルートです、店長…。
「今日、まかない、私に作らせてもらえませんか?」
バイト先のカフェで、私・あんずはそう切り出した。
店長、最近ちょっと元気がない。
「暑くてさ〜、昼はだいたいソバかアイスコーヒーだけで済ませてる」なんて言ってるけど、それって完全に“冷やしすぎ生活”だ。
暑いと冷たいものを欲する気持ちは分かる。
でも、夏バテで食欲が落ちるときこそ、体を内側から温める工夫が大事なんだって、薬膳の勉強で知った。
温活そうめんスープ(冷やしver.)

〈材料(1人分)〉
- そうめん…1束(ゆでて冷水でしめておく)
- サラダチキン…30g(細かく裂いておく)
- みょうが…少々(千切り)
- 大葉…2枚(千切り)
- おろし生姜…小さじ1(多めが◎)
- 白ごま…小さじ1
冷静スープ
- 水…150ml(冷水 or 氷水)
- 白だし…大さじ1
- 醤油…小さじ1
- すりごま…小さじ1
- 生姜汁…少々(お好みで)
作り方(調理時間 約10分)
- そうめんをゆでて冷やす
袋の表示通りにゆで、冷水でしめてしっかり水気を切る。 - 冷製スープを作る
ボウルに冷水・白だし・醤油・すりごま・生姜汁を入れてよく混ぜる。 - 器に盛りつける
器にそうめんを盛り、上にサラダチキン・みょうが・大葉・おろし生姜・白ごまをのせる。 - 冷たいスープをかける
スープを注ぎ、氷を1〜2個加えるとさらにひんやり!
薬膳ポイント
食材 | 性味 | 帰経 | 効能 |
---|---|---|---|
そうめん(小麦) | 甘・平 | 脾・胃 | 消化にやさしく、疲労回復に◎ |
生姜 | 辛・温 | 脾・肺 | 冷え予防、食欲増進 |
みょうが | 辛・温 | 肺・肝 | 気を巡らせ、だるさを取る |
鶏肉 | 甘・温 | 脾・胃 | 気を補い、体力を支える |
大葉 | 辛・温 | 肺・脾 | 香りで気を巡らせる |
休憩終わり
「うまっ、これ冷たいのに、なんか内臓がホッとする感じだな」
まかないをひとくち食べた店長が、目を見開いて言った。
「でしょ?みょうがとか生姜って、体を冷やさずにさっぱり食べられるんです。白ごまも、気を巡らせてくれるし、夏バテ予防にもいいんですよ」
そう言いながら、私はにんまり。冷たいものばかり食べていた店長の顔色が、ちょっと明るく見えた。
「こんなん、もっと早く食べたかったなあ……明日も作ってくれる?」
「えっ、いいんですか?じゃあ、また薬膳まかない考えてきます!」
「よし!今日から薬膳隊長よろしくな!」
店長の笑顔に、ちょっとだけ自信が湧いた。
ずぼらでも、薬膳はできる。誰かの役に立てる。
そう思えた、嬉しい昼休みだった。
あんずのひとこと
「暑い日はやっぱり冷たいものが食べたい。
でも、体の中まで冷やさなくていい。
ちょっとした工夫で変えられるのが薬膳の面白いところ。」