あんず– Author –
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五行クロニクル
第7話 湿度MAXなのに、私の体内カラ砂漠?(腎陰虚編)
柚葉は夜の自室で、ノートパソコンに向かっていた。締め切りが迫るレポートは、真っ白なページのまま点滅しているカーソルだけが元気だ。加湿器はフル稼働で、モニターには「湿度70%」の数字。窓ガラスにはうっすら結露までついているのに、喉はカラカラ... -
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第24話 紅玉アップルパイ
紅玉アップルパイと小さなサプライズ 午後の《喫茶つむぎ》。外は冬の風が木々を揺らし、カウンターの上ではオーブンの中から甘い香りが漂っていた。焼きたてのパイ生地がほのかに色づき、紅玉の赤がガラス越しにきらめいている。 扉のベルが鳴り、明るい... -
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第23話 柚子茶
柚子茶と冬の息吹 冬の夜、《喫茶つむぎ》のカウンターには、ほのかに甘い柚子の香りが漂っていた。湯気とともに広がるその香りは、冬の冷たい空気をやさしく包み込んでいく。 扉のベルが鳴り、ギターケースを背負った三浦朝陽が入ってきた。「こんばんは…... -
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第22話 桂花茶
桂花茶と不思議な受験生 冬の夕暮れ、街には冷たい風が吹き抜け、通りを歩く人々の吐く息が白く揺れていた。《喫茶つむぎ》のドアベルが鳴り、制服姿の女の子がふらりと入ってきた。「こんばんは……」椅子に腰を下ろしたのは、高校3年生の由衣ちゃん。「キ... -
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第21話 冬瓜
冬瓜と母の食卓 夕暮れの《喫茶つむぎ》。蒸し暑さが残る中、恰幅のいい中年サラリーマン、石田さんがのっそりと入ってきた。ネクタイをゆるめ、スーツの上着を脱ぎながら椅子に腰を下ろす姿には、長い一日の疲れがにじんでいた。 「昔はどれだけ食べても... -
五行クロニクル
第6話 むくみ迷宮で水路大混乱(むくみ編)
朝のアラームがけたたましく鳴った。柚葉はスマホを枕元で探りながら、重たいまぶたをこじ開ける。 「……うわ、顔パンッパン」 鏡をのぞき込んで、思わずのけぞった。まぶたは腫れぼったく、頬もふくらんで輪郭がぼやけている。昨日の夜、ゼミの発表準備で... -
五行クロニクル
第5話 乾燥で咳とか、私って砂漠のゼミ生?
柚葉はゼミ室の片隅で、必死に咳をこらえていた。乾燥した冬の空気が喉にまとわりつき、息を吸うたびにカサカサと音が鳴りそうだ。 「けほっ……んんっ……」 声を殺しながら喉を押さえる。マスクの中で、喉の奥がひび割れるように痛む。 夕方のゼミ。教授の声... -
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第20話 百合根
百合根と眠れない教師 夜の《喫茶つむぎ》。雨上がりの湿った空気がまだ残る街に、店内の柔らかな灯りがにじんでいた。ベルが鳴り、和やかな雰囲気の中に少し張りつめた気配を纏って、一人の女性が入ってきた。 「……こんばんは」静かな声であいさつしたの... -
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第19話 梨
梨と声のひらめき 夜の《喫茶つむぎ》。窓の外には街灯が淡く灯り、通りを行き交う人々の足音がリズムのように響いていた。カウンターの奥では、蓮が3弦ギターを抱えて静かにジャズを奏でている。深い音色が店内を柔らかく包み込んでいた。 ベルが軽やかに... -
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第18話 陳皮茶
陳皮茶と入れ替わった鞄 午後の《喫茶つむぎ》。慌ただしいベルの音が鳴り響き、若い女性が勢いよく店に飛び込んできた。あんずは顔を見て、すぐに思い出した。――つい先ほど、アイスコーヒーを注文していたお客さまだ。 女性は焦った様子でカウンターに身...