第24話 紅玉アップルパイ

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紅玉アップルパイと小さなサプライズ

午後の《喫茶つむぎ》。
外は冬の風が木々を揺らし、カウンターの上ではオーブンの中から甘い香りが漂っていた。
焼きたてのパイ生地がほのかに色づき、紅玉の赤がガラス越しにきらめいている。

扉のベルが鳴り、明るい声が響いた。
「こんにちは!」

入ってきたのは真理子さん。
今日はいつもに増してきらきらしている。
頬にはほんのり紅が差し、毛先まで艶やかにまとまっていた。

「ねぇ、あんずちゃん。実家から紅玉をたくさん送ってもらったの。
このリンゴでアップルパイを作ってもらえないかしら?」

私は思わず笑みをこぼした。
「紅玉、ですか? いいですね。酸味が強くて香りも立つ、焼き菓子向けのリンゴですよね」

真理子さんは嬉しそうにうなずいた。
「そうなの。焼くと果肉がとろけて、甘みと酸味のバランスがちょうどよくなるの。
皮の赤も美しいし、“りんごは医者いらず”って言われるくらい健康にもいいのよ。
ビタミンCでお肌に潤いを与えて、腸の調子も整えてくれる。
冬の美容にはぴったりなの」

その語りぶりに、私は思わず笑ってしまった。
「本当に美容研究家みたいですね」

「ふふ、好きなことを話してると止まらなくてね」
真理子さんは照れくさそうに笑ったあと、少し声を潜めて続けた。
「ねぇ……あんずちゃん。あのね、今日は――つむぎさんのお誕生日なの」

私は驚いて目を見開いた。
「えっ……そうだったんですか?」

「直接お祝いを言うのはちょっと照れくさいから、ケーキ代わりにアップルパイでお祝いしたいの」

その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
「わかりました。じゃあ、少し薬膳アレンジを加えましょう。
あんずジャムを使って、体を潤して温める“美容アップルパイ”にしますね」

真理子さんの瞳が輝いた。
「それ、絶対おいしい! あんずジャムと紅玉の酸味……想像しただけで幸せになれそう」

オーブンの中で、パイがふんわりと膨らんでいく。
甘酸っぱい香りが店内を包み、外の寒気さえやわらげてくれるようだった。

やがて焼き上がったパイを取り出すと、紅玉の果肉が金色に透け、表面には淡く粉糖が舞った。
「わぁ……美しい」
真理子さんが小さくつぶやいた。

私はカウンターに皿を並べながら言った。
「リンゴは肺を潤して、乾燥からお肌を守ってくれます。
シナモンで血を巡らせれば、内側からぽかぽかですよ」

ちょうどそのとき、奥からつむぎさんが顔を出した。
「いい匂いね。今日はアップルパイ?」

真理子さんが照れくさそうに笑った。
「ええ。……お誕生日、おめでとうございます」

つむぎさんの目がやさしく細められた。
「まぁ……覚えててくれたのね。うれしいわ」

あんずが小皿を三つ並べ、温かな紅茶を添える。
三人で小さく手を合わせ、静かにアップルパイを味わった。

真理子さんが一口食べ、うっとりと目を閉じた。
「サクサクの生地に、紅玉の酸味とあんずジャムの甘みが溶け合って……
体の内側まで潤う感じ。まさに“食べる美容液”ね」

あんずが微笑む。
「紅玉の赤って、元気をくれる色ですよね」

「ええ。つむぎさんの誕生日にぴったりな色」

つむぎさんは二人を見つめて、静かに笑った。
「ありがとう。……あなたたちの気持ちが何よりのごちそうよ」

外では風に乗って、小さな鈴の音がかすかに響いた。
店内には紅玉の香りと、人のぬくもりが静かに満ちていた。

今日の薬膳ミニ知識

・りんご(紅玉):性味は平・甘酸、帰経は肺・脾・胃。
 → 潤肺・生津・健脾・和胃。乾燥肌や喉の渇き、便秘におすすめ。
 「一日一個のリンゴで医者いらず」といわれる万能果。
・あんず(杏):性味は平・甘酸、帰経は肺・大腸。
 → 潤肺・止咳・潤腸。乾燥からくる肌荒れや喉の不調に。
・シナモン(桂皮):性味は温・辛甘、帰経は心・脾・肝。
 → 温経・散寒・活血。冷えを取り除き、血色を整える。
→ 冬の美容薬膳は、「潤い+温め」で心と肌をやさしく整えましょう。

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この記事を書いた人

国際中医薬膳師のいろはが薬膳の効果と普段食べている食材にも効能があることをお伝えします。

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