
登場人物
あんず(19歳)
一人暮らしの大学生。バイトと課題に追われつつ、ゆるく薬膳にハマり中。
目次
朝の7時
「今日もダルい……」
スマホのアラームを止めたまま、あんずは布団から出る気配がない。
カーテンの隙間から朝日が差してるけど、それすらまぶしい。
“なんでこんなに疲れてんだろ”
昨日も夜ふかしした。コンビニごはんばっかりだし、冷房もずっとつけっぱなし。
自覚はあるけど、何をどう直したらいいのかわからない。
「よし、今日はがんばらないごはんを作ろう」
そのとき、ふとキッチンの棚から出てきたのは、祖母がくれた1冊のノート。
『気が足りないと、動きたくなくなる。冷えは気を運ばなくする。』
「気って、エネルギーのこと?…冷えてるの、わたし?」
そのページには、シンプルなレシピが走り書きされていた。
鶏もも肉と長ネギの薬膳スープ

〈材料(1人分)〉
- 鶏もも肉(冷凍でもOK)…80g
- 長ねぎ(ざく切り)…1/2本
- 生姜スライス…2枚(チューブでも可)
- 水…300ml
- 鶏ガラスープの素…小さじ1
- 塩…少々
〈作り方〉
- 小鍋に材料を全部入れる
- 中火で10〜15分煮るだけ!
薬膳ポイント
鶏肉(補気):元気(=気)をつくってくれる
長ねぎ・生姜(温める):体を内側からポカポカに
塩(腎を助ける):少量なら味を引き締めてエネルギーの通り道を整える
その夜
「……うま。」
あんずは思わずつぶやいた。なんでもない具材のスープなのに、体がじわっと温まる。
気のせいか、夜もすんなり寝られた。
そして翌朝。
「…あれ?なんか体、軽いかも?」
ほんのちょっとだけ、いつもより早く布団を抜け出せた。
あんずのひとこと
「がんばらなくても、ちゃんとしたごはんって作れるんだね。
まずは、気を補う朝スープ。なんか…ちゃんと生きてるって感じ。」