柚子茶と冬の息吹
冬の夜、《喫茶つむぎ》のカウンターには、ほのかに甘い柚子の香りが漂っていた。
湯気とともに広がるその香りは、冬の冷たい空気をやさしく包み込んでいく。
扉のベルが鳴り、ギターケースを背負った三浦朝陽が入ってきた。
「こんばんは……」
腰を下ろした瞬間、彼は小さくお腹を押さえた。
「実は……最近、練習終わりにメンバーと居酒屋に行くのが定番で。
昨日は対バンの連中とも盛り上がって、つい食べすぎました。
今日はお腹が張って、食欲もなくて……」
苦笑しながら続ける。
「ありがたいことに、大きなライブハウスから声がかかってるんです。
チャンスだと思うんですけど、こんな食生活じゃ体が心配で」
私は頷き、カウンター奥のガラス瓶をそっと持ち上げた。
中には、果肉と皮を丁寧に刻んで漬けた自家製の柚子茶が光を受けていた。
「よければ、少し試してみますか?
果肉の甘酸っぱさは疲れた胃をやさしく癒やしてくれますし、皮には“消食”の働きがあって、食べすぎたときにぴったりなんです。
香りも気持ちをリフレッシュさせてくれますよ」
朝陽は興味深そうにのぞきこみ、うなずいた。
「お願いします。……その香り、ちょっと飲んでみたくなりました」
湯を注ぐと、カップから立ちのぼる柚子の香りがふわりと店内に広がった。
「へぇ……香りだけで気分が軽くなりますね」
彼はそっとひと口含み、ほっと息をついた。
「胃の重さが少し引いた気がします。喉もスッと通る……。
なんだか胸のあたりのつかえも取れたような……気の巡りって、こういうことなんですね」
奥でギターを爪弾いていた蓮が、飄々と口を開いた。
「そりゃ、体が“リセット”を欲しがってたんだ。
音楽も身体も、張りつめすぎると音が詰まる」
つむぎさんも笑顔でうなずく。
「香りって、気持ちを整える力があるんです。
体を巡らせることで、心も軽くなりますよ」
朝陽はカップを持ちながら、静かに頷いた。
「本当にそうですね。……最近、頑張ることばかり考えてて、整えることを忘れてました」
しばらくして、彼は鞄から数枚のチケットを取り出した。
「実は、来月のライブチケットを持ってきました。
いつもお世話になってるつむぎさんと、蓮さん、あんずさんに……。
それと、もしよければレジの近くにフライヤーも置かせてもらえませんか?」
蓮は軽く笑って受け取り、ギターの弦を鳴らした。
「もちろん。――そのうち、《喫茶つむぎ》で“音楽と薬膳”の夜をやるつもりなんだ。
そのときは、お前の弾き語りで一曲、聞かせてくれよ」
朝陽は照れくさそうに笑い、深々と頭を下げた。
その横顔には、かつての迷いや焦りではなく、静かな自信が宿っていた。
外はまだ冷たい風が吹いていたが、店内には柚子の香りと、冬を越えていく音楽の息吹がやさしく満ちていた。
今日の薬膳ミニ知識
・柚子の果肉:疲れた胃をやさしく整え、食欲を助けてくれます。和中・開胃・健脾の働きで、飲みすぎ・食べすぎのあとにもおすすめ。
・柚子の皮:食べすぎやお腹の張りを和らげる「消食」と、滞った気を巡らせる「理気」の作用があります。気滞証にぴったり。
・柚子の種:保湿成分があり、つむぎでは化粧水として再利用。体も肌も“巡り”を整えることが大切です。
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