第13話 かぼちゃ餡パイ

かぼちゃパイ
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かぼちゃ餡パイと旅館の未来

秋の夕暮れ、街路樹の葉が色づき、窓から柔らかな光が差し込んでいた《喫茶つむぎ》。
カウンターの奥では、私は焼き立てのお菓子を冷ましていた。パイの香ばしい匂いと、かぼちゃのほのかな甘みが店内に広がる。

ベルが鳴り、和服姿の青年が入ってきた。
「こんばんは。お久しぶりです」
落ち着いた物腰に品の良さを漂わせる冬木青年――市内の老舗温泉旅館の跡取りだ。

彼は椅子に腰を下ろし、緑茶を注文した。ひと口飲んでから、少し遠慮がちに打ち明ける。
「実は……旅館で出すお着き菓子を新しくしたいと思っていまして。最近、お客様から“少し古風すぎる”と声があって。観光客に喜ばれるような、地元らしいお菓子を探しているんです」

私は目を輝かせた。
「そういえば以前、ここで召し上がったかぼちゃのスイーツを気に入ってくださいましたよね」
冬木さんは頷き、柔らかな笑みを浮かべた。
「はい。あの優しい甘さが忘れられなくて……。地元の特産のかぼちゃを活かせば、旅館らしい菓子になるんじゃないかと考えたんです」

その言葉に、つむぎさんが微笑んで口を添える。
「お着き菓子って、お客様を迎える大事なおもてなしなんです。長旅で疲れて血糖値が下がった体に、甘味でエネルギーを補う。緑茶のビタミンCは湯あたり防止にもなります」
冬木さんは驚いた顔で言った。
「へえ……緑茶にそんな役割があるんですね。湯あたり防止って聞いたことはあります」

私は補足するように言った。
「薬膳的にも、かぼちゃの甘味は“補中益気”といって、弱った胃腸を養い、旅の疲れを癒す働きがあります。疲れや冷えを感じやすい旅人にはぴったりなんです」

冬木さんの目が輝く。
「……なるほど、そこまで意味があるんですね!」

私は試作していたお菓子を差し出した。
「これは“かぼちゃ餡をパイ生地で包んで焼き上げたもの”です。外はサクサク、中はほくほくの餡で、食べごたえはありながら胃にもやさしいんですよ」

ひと口食べた冬木さんは目を丸くした。
「……甘さがやさしい。かぼちゃのほくほく感がパイの層と合わさって、口の中でほどけていきますね。食べたあとに重くない」

つむぎさんが頷く。
「観光のお客様には、伝統的な和菓子ももちろん喜ばれますが、少し洋の要素を加えると、旅の記憶に残るものになりますよ」

冬木さんは深く息をつき、真剣な眼差しで言った。
「……これだ。うちの旅館らしい新しい名物になるかもしれません。祖母や父の代からの伝統に、僕の代の工夫を加えられる」

帰り際、冬木さんは丁寧に頭を下げた。
「次は旅館のお客様に、この味を楽しんでもらえるよう準備を始めます。本当にありがとうございました」

扉が閉まり、残されたかぼちゃ餡パイの甘い香りが、秋風とともにやさしく店内に漂っていた。
――その香りは、旅館の未来をほんのり照らしているように感じられた。

今日の薬膳ミニ知識

かぼちゃ:脾胃を補い、体力を回復。疲労や冷えを和らげる。
緑茶:ビタミンCで湯あたり防止。抗酸化作用や疲労回復効果も。
お着き菓子:旅の疲れを癒し、血糖値や水分を補って入浴前の立ちくらみを防ぐ役割を持つ。

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この記事を書いた人

国際中医薬膳師のいろはが薬膳の効果と普段食べている食材にも効能があることをお伝えします。

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