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第40話 和合の鍋
和合の鍋と集まる理由 夕暮れの《喫茶つむぎ》の入口には、いつもは置かれていない小さな黒板が立てかけられていた。 本日:季節の鍋ありますひとりでも、途中参加でもどうぞ※相席になる場合があります 手書きの文字は少し不揃いで、きっちりした告知とい... -
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第39話 白湯
白湯と巡りの合図 夜の《喫茶つむぎ》は、雨上がりの匂いを含んだ静けさに包まれていた。閉店間際、常連たちがぽつりぽつりと帰っていき、店内にはカウンターの灯りだけが残っている。 私はシンクでカップを洗いながら、ふと今日一日の出来事を思い返して... -
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第38話 百合根粥
百合根粥と眠っていい午後 昼下がりの《喫茶つむぎ》は、ゆっくりとした時間が流れていた。ストーブの火が小さく鳴り、カウンターの上ではポットの湯気が静かに立っている。 私はカップを磨きながら、店内の空気を確かめる。騒がしくもなく、静かすぎもし... -
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第37話 ざくろ黒酢
ざくろ黒酢とほどける夜 夕方の《喫茶つむぎ》は、外を吹く風の音だけが控えめに響いていた。私は開店準備をしながら、レシピ帳をめくる。 ——巡らせる。——香りで整える。——温める。 良いことばかり並んでいるようで、ふと「本当に全部“良い”のかな?」と胸... -
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第36話 菊花茶
菊花茶と止まらない思考 朝の《喫茶つむぎ》は、まだ冬の名残りを引きずった冷たい風が窓を叩いていた。湯気の上がるポットの前で、私はレシピ帳をめくりながら首をかしげる。 ——巡らせる。——温める。——香りで整える。 どれも“良いこと”に見える。でも、良... -
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第35話 白木耳2
白木耳と静かに戻る声 夜の《喫茶つむぎ》は、雨の音がBGMのように静かに流れていた。常連客が帰り、私は片づけをしながら、白木耳(しろきくらげ)を水につけて戻していた。 ふと耳に届いたのは、いつもと違う音。 ——歌声。 蓮がカウンター奥で三弦ギター... -
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第34話 龍眼粥
龍眼粥と灯らない夜 夜の《喫茶つむぎ》は、いつもより少し暗かった。脚立の上で、オーナーの蓮がぶら下がった丸い電球を指先でつついている。 「……寿命だな。はい、交換。」 カチリ、と新しい電球を回し込むと、ふわりと温かな光が戻った。そのタイミング... -
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第33話 金柑シロップ
金柑シロップとミキサーのノイズ 午前中の《喫茶つむぎ》。曇りガラス越しの光が、カウンターをやわらかく照らしていた。私はレシピ帳を開き、昨日の続きに目を落とす。 《金柑——開鬱・化痰・寛胸》 走り書きのような文字が残されている。「開鬱……気をほど... -
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第32話 ローズティー
ローズティーと風の調べ 春の嵐が去った翌朝、《喫茶つむぎ》のガラス戸はうすく曇っていた。昨夜の雨が街の色を洗い流し、空気はどこか軽い。けれど、軽さの分だけ落ち着かない——そんな朝もある。 開店準備をしながら、私はレシピ帳の“香りの章”を開いた... -
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第31話 八角2
八角と失敗の香り 朝の《喫茶つむぎ》は、まだ開店前の静けさに包まれていた。窓の外では、雪解けの水が屋根の端を伝って、ぽたり、ぽたりと落ちている。春の気配が漂い始めたとはいえ、風はまだ少し冷たい。 昨夜、つむぎさんが笑いながら話してくれた言...